第5話:家が立ち上がる日
はじめて家を建てる!第5話 ――一日で、家が“現実”になった日―― 上棟の日。 この日が来ることは、 頭ではわかっていた。 スケジュール表にも、 カレンダーにも、 赤字で書いてあった。 それでも、 朝、現場に立ったときの光景は、 どこか信じられなかった。 そこには、 昨日までと同じように、 基礎だけが静かに横たわって...
はじめて家を建てる!第5話 ――一日で、家が“現実”になった日―― 上棟の日。 この日が来ることは、 頭ではわかっていた。 スケジュール表にも、 カレンダーにも、 赤字で書いてあった。 それでも、 朝、現場に立ったときの光景は、 どこか信じられなかった。 そこには、 昨日までと同じように、 基礎だけが静かに横たわっていた。 「本当に、今日で家になるのか?」 心配性の私は、 そんな疑問を抱えたまま、 現場の端で立っていた。 上棟の朝――始まる前の静けさ 朝は早かった。 職人さんたちが次々に集まり、 現場の空気が一気に変わる。 挨拶の声、 工具の音、 木材を運ぶ足音。 まだ何も建っていないのに、 すでに「工事が始まる」という 独特の緊張感が漂っていた。 クレーン車を見て実感する規模感 大きなクレーン車が ゆっくりと現場に入ってきた。 その瞬間、 ようやく現実味が湧いてきた。 「これは、遊びじゃないな」 今までの工程も、 もちろん本気だった。 でも、 この日は違う。 今日一日で、 家の骨格が立ち上がる。 取り返しがつかない、 という言葉が、 ふと頭をよぎった。 躯体工事――柱と梁が立ち上がる 朝の数時間で、景色が変わる 作業が始まると、 時間の流れが一気に加速した。 柱が立つ。 梁が組まれる。 クレーンで吊られた木材が、 空を舞うように運ばれていく。 「え、もう二階?」 そんな声が、 思わず口から漏れた。 ほんの数時間前まで、 平面だった場所が、 立体になっていく。 職人さんたちの連携 誰一人、 無駄な動きをしていない。 声を掛け合い、 手を動かし、 迷いがない。 私は、 ただ見ているだけなのに、 なぜか緊張していた。 「ちゃんと、組めているんだろうか」 「傾いてないか」 「金物は足りているか」 心配性の頭は、 相変わらず忙しい。 でも、 職人さんたちの動きを見ているうちに、 少しずつその不安は薄れていった。 午前と午後で別の現場になる 昼前には、家の輪郭が見えた 柱と梁が組み上がり、 床ができ、 二階の骨組みが現れる。 まだ壁はないのに、 「部屋の広さ」がわかる。 「ここ...